ヘリコバクター・ピロリ菌
ヘリコバクター・ピロリ菌とは
ピロリ菌は胃の表層の粘液に住みつく菌で、慢性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどの原因となります。
胃がんは患者数の多いがんであり、胃がんを予防するという意味でもピロリ菌の退治(除菌)は有用です。
ピロリ菌感染の原因
ピロリ菌感染には上下水道の普及率や衛生環境が関係していると言われています。
50歳以上で約70%と感染率が高いのですが、衛生環境の改善に伴い20歳代で20~30%と低くなってきています。経口でも感染の可能性があります。感染した大人からまだ免疫のない乳幼児に口移しで食べ物を与えるなどの行為は感染の可能性があると考えた方がよいでしょう。
ピロリ菌の診断と治療
以下のいずれかの条件を満たせばピロリ菌の検査を行うことができます。
- 胃カメラまたはバリウムで、胃・十二指腸潰瘍と診断された
- 胃MALTリンパ腫
- 特発性血小板減少性紫斑病
- 早期胃がんに対して胃カメラ治療を行った
- 6か月以内に胃カメラまたはバリウムで慢性胃炎と診断されている
ピロリ菌の診断には胃カメラ、呼気、血液、糞便で調べる方法があります。
『胃がん対策はピロリ菌除菌に重点を置くべきである』と言われており、ピロリ菌感染があれば胃がん予防のために除菌治療を受けることが推奨されています。
6か月以内に胃カメラもしくはバリウム検査をしていれば、除菌に対する保険診療が可能です。検査をしていない場合は胃カメラの相談となります。
ピロリ菌を除菌するためには1週間お薬をのみます。
内服終了後4週間以上間隔をあけて、除菌できているかどうかの検査をします。
ピロリ菌除菌後の胃がんについて
ピロリ菌除菌が成功すれば、それで終わりではありません。
除菌までの期間に慢性胃炎が進んでいるので、正常の方と比べると胃がんになる確率が高いです。除菌終了後も年に1回の胃カメラをお勧めします。
また、ピロリ菌除菌によって逆流性食道炎になる可能性がありますが、一時的なもので改善することが多いと言われています。
名古屋市委託ピロリ菌検査について
令和3年10月1日から実施します。
方法は血液検査、一人1回まで、負担は無料です。
対象;当該年度末時点で20歳以上39歳以下の方
以下の方は除外となります
・ピロリ菌除菌治療を受けたことがある
・胃の手術を受けたことがある
・過去に名古屋市のピロリ菌検査を受けたことがある